メリットの数々
オルソケラトロジーのメリットとしては次のようなことが挙げられます。なお、メリットとデメリットが表裏一体になっている場合もあります。
①「夜間装用をすれば昼間は裸眼で過ごすことができる」
②「7歳~60歳くらいまでの幅広い年齢層の方が着用可能」
③「通常のハードコンタクトレンズと扱いが同じで、リスクは同程度」
④「18歳未満の未成年を中心に近視の進行を抑制する効果がある」
⑤「手術ではないので、治療を止めれば角膜の形を元に戻すことができる」
以上のようなところになります。一つずつ見てゆきましょう。
メリット①の裸眼で過ごせること改めては言うまでもないでしょう。治療の安定期に入れば2日おきに装用すれば大丈夫な人もいるため、多くのオルソケラトロジー体験者が昼間は裸眼で生活しています。
メリット②の小学生から定年退職されるぐらいの年齢の方まで幅広く愛用されているところは魅力的です。レーシックと違って年齢による制限はあまりありません。
メリット③である「オルソケラトロジーの扱い」は普通のハードコンタクトレンズと同じです。市販のケア用品で十分なため、特別な準備は必要ありません。眼に対するリスクも低いと言われています。
メリット④の近視の抑制効果はオルソケラトロジーの大きな特徴の一つです。一般に近視は25歳ぐらいまで進むと言われていますが、近視の進行過程にある若い人がオルソケラトロジーを装用した場合に近視の進行が止まったという研究報告があります。
この研究結果は専門家の間で広く認識されているため、多くの眼科医が若い人の近視治療にオルソケラトロジーを薦める根拠となっています。これは若年者にとってのオルソケラトロジー最大のメリットとも言えるでしょう。
※ただし個人差があり、必ず効果があらわれるわけではありません
メリット⑤ですが、オルソケラトロジーは角膜の形状を変えるだけなので手術の必要はありません。角膜を削ることもないので、治療を中止すれば自然に角膜の形状は元に戻ってゆきます。つまり可逆性があります。もし治療の途中で「自分に合わない」と思ったら装用を中止すればよいのです。
主なメリットは以上です。どれも魅力的なものばかりですね。
眼科を探すのにあたって
当サイトをご覧いただいて「『オルソケラトロジー』を始めてみたい!」と思った方はまず取り扱い眼科を探さなくてはなりません。そのとき、あなたは何を基準にして探すでしょうか?
通院に楽なようになるべく自宅から近い眼科を探すかもしれません。
または角膜のデータをとるのと引き換えに料金を割引してくれる「モニター制度」を実施している眼科を探すかもしれません。
それともなるべく安心して治療を受けることができるように評判の良い眼科医がいるところを探すのかもしれません。
眼科を選ぶポイントは人によって千差万別だと思います。
しかし、最初に治療をはじめる眼科を選ぶときは慎重に選び、後悔の無い選択をしましょう。
なるべく安い料金の眼科を選んだゆえに、医師のオルソケラトロジーに関する経験が未熟であったということもあるかもしれません。または「評判の良い医師がいる眼科を選んだのはいいけど、場所があまりに遠くて通院が大変だった…。」と後悔してしまうことがあるかもしれません。
※上記に「料金が安い眼科を選んだら医師の技術が未熟であった」という記述がありますが、一概に「料金が安い=医師の技術が未熟」と言える訳ではありません。料金を安く設定していても技術の十分な眼科医はたくさんいます。この点は誤解なさらないようにお願い致します。
後悔の無いように各眼科をじっくりと比較してから、ぜひ「自分だけの」オルソケラトロジーを始めましょう(※ただし、比較しているうちに「だんだん探すのが面倒になってきた…。」と思って探すのをやめてしまうことがないようにしましょう。「鉄は熱いうちに打て」です)。
是非「裸眼生活に対する熱い思い」をもってあなたに一番あった眼科を探してみてください。
レーシックとの違い
レーシックという近視矯正の手段をご存知の方もいるかも知れません。レーシックは簡単に言えば、「角膜を削って光の屈折を変えて視力改善を目指す手術」です。
「角膜の形を変えて視力矯正を目指す」という点についてはオルソケラトロジーと同じなので、「どこがどう違うのか?」と迷う方もいらっしゃいます。そこでこの2つの視力矯正法の違いを簡単にご説明したいと思います。
※なお、ここでは双方の治療法の「違い」を説明するにとどまります。「裸眼で生活できる」といった効果が同じものには触れません
①手術の有無
レーシックの場合は角膜に外科的な手術を加えます。角膜を削って形状を変化させ、光の屈折率を最適なものに変えることで視力の改善を目指すからです。よって、一度手術を行うと角膜の形を完全に元に戻すことはできません。
この「可逆性」こそがレーシックとオルソケラトロジーの最大の違いです。
オルソケラトロジーはあくまで角膜の形状を変化させるだけなので、もし思ったような効果があらわれない場合は治療を中止すれば角膜の形状は元に戻ります。つまり、治療の中止ややり直しも可能なのです。
ゆえにオルソケラトロジーはレーシックに比べて「リスクの低い治療方法」と呼ばれています。
ただし、「可逆性がある」ということはオルソケラトロジーにとってデメリットにもなります。
レーシックの場合は手術に成功し、安定した状態になれば患者側ですることは定期検査を受けることぐらいです。しかし、オルソケラトロジーは治療を止めると角膜の形状が元に戻ってしまうため、定期的にレンズを着用しなければなりません。
このように、治療の「可逆性」はレーシックとオルソケラトロジー双方にとってメリットにもデメリットにもなります。
②治療可能な年齢
レーシックの治療可能年齢は20歳~60歳ぐらいまでです。対してオルソケラトロジーは7歳~60歳ぐらいなので、オルソケラトロジーの方が治療を開始できる年齢が低くなっています。
この治療開始年齢は大きな差と言われています。
レーシックは外科手術を伴うものなので原則的に未成年者への治療が実施されていません。これは眼球の成長途上である未成年者の角膜を削ることが好ましくないためですが、オルソケラトロジーはむしろ未成年者への治療を薦める医師が多くなっています。
詳しくは子供の近視矯正法としてをご覧ください。
レーシック手術の後のオルソケラトロジー
レーシック手術が行われる前には入念な検査が行われ、術後にどのくらいの視力が得られるのかどうかが想定されてから手術が始まりますが、やはり中には期待したほどの視力を得られないケースもあります。
そこで、レーシック手術を受けた後に目標とする裸眼視力まで届くためオルソケラトロジーを併用する患者さんも少数ながら存在します。
例えば、「視力「0,1」から「1.0」を目標として手術を行ったが、術後の視力が「0,5」までしか届かなかったために、「0,5」から「1,0」をオルソケラトロジーで補う」といった場合です。
良好な裸眼視力を得るために有効な手段の一つとして行われていますが、この場合は通常の治療と違った注意点があります。
それは技術の問題です。
というのも、治療開始時点ですでに患者の角膜が削られているという特殊な状態なので、レンズのデザインが難しくなるからです。もしレーシック後にオルソケラトロジーを始める場合はレーシック手術を受けたということを医師にはっきりと伝え、オルソケラトロジーによる治療が可能かどうかをしっかりと相談しましょう。
そしてレーシック後のオルソケラトロジーの治療に理解と経験のある医師の下で治療を行いましょう。
子供の近視矯正法として
子供の近視矯正方法としてオルソケラトロジーは非常に有効と考えられています。
※ここでいう「子供」とは18歳以下の患者を指します
まず1つ目の理由として、子供の場合は体の水分が多いために角膜が柔らかく、コンタクトレンズによる形づけがしやすいことが挙げられます。この角膜の柔軟性ゆえに、大人の患者よりもレンズをはずした後に長い間良好な視力を得られるケースが多くなっています。
2つ目として、子供の場合は近視の進行過程にある場合が多く、オルソケラトロジーは「近視の程度が軽いほど効果があらわれやすい」ということも有効な理由の一つとして挙げられます。
オルソケラトロジーによる近視矯正にも限界があり、強度の近視の人が完全に視力を取り戻すのは難しくなっています。
この「強度の近視」の人は近視の進行が最終段階になってしまった25歳以上の人に多く、その段階に達する前にいる子供の場合はオルソケラトロジーで視力を取り戻せる可能性が高くなります。そういった意味でも子供の近視矯正法としてオルソケラトロジーを薦める医師が多くなっています。
3つ目の理由として、「オルソケラトロジーには近視の進行を抑制する効果がある」というデータが多数報告されていることが挙げられます。
一般に近視の進行は25歳ぐらいまでと言われており(※異説もあり、まだ結論は出ていません)、子供の場合はまさに近視の進行過程にあるので、「近視の進行を抑制する効果」は大きな意味を持っていると言えるでしょう。
特に仮性近視といわれる近視の極初期の段階で使用した場合、半年ほどで完全に近視が治ってしまったケースも報告されています。そうなればもはや継続的な治療の必要はありません。もちろんメガネや通常のコンタクトレンズも必要ありません。
※ただし、「近視進行抑制」の例は多数報告されているものの、個人差が大きく、全ての患者に対して効果があるわけではありません。その点はしっかりと認識しておきましょう。
これらの理由から、専門家の間では「オルソケラトロジーは早期に開始することが重要」と言われているのです。
もし自分のお子様が近視になり始めたのならば、医師とよくご相談の上で治療の開始を検討してみてはいかがでしょうか。
子供がオルソケラトロジーを使うことのデメリット
上記のように子供がオルソケラトロジーを使うメリットは非常に大きいと言われています。しかしながら、問題点もあります。
まずは管理の問題です。
オルソケラトロジーもコンタクトレンズであるので、当然適切なレンズのケアや装用方法があります。日々の適切な管理は患者が行う最も重要な約束事と言ってもよいでしょう。
洗浄液につけずに着用したり、医師の指導を守らない長時間の装用を続けたりしてしまうと合併症を引き起こしてしまう可能性があります。
小学生くらいの子供がオルソケラトロジーを使う場合はこの点に十分注意して、保護者の方がきちんと監督する必要があると言えるでしょう。
次に、オルソケラトロジーが本格的に民間の医療機関で扱われ始めたのはこの20年ほどであるので、長期的な予後について疑問を呈する医師もいるということが挙げられます。
角膜が成長段階にある子供にレンズで形付けをしてどのような影響があるのかのデータが不十分ということで、あえてオルソケラトロジーを18歳未満の子供に処方しない医師も極少数ではありますがいらっしゃるようです。
上で挙げたメリットの点からオルソケラトロジーを子供の近視矯正方法として薦める医師が圧倒的に多いですが、こういった否定的な意見を持つ医師もいるということは留意した方がよいかもしれません。
ただし、国内でのオルソケラトロジーの第一人者である三井先生によれば「子供にも悪影響は無い」と断言されております。
※外部リンク・10月12日付け読売新聞について~裏付けのない報道に問題あり
http://www.ortho-k.co.jp/news/post_1.html
もし不安がある場合は、最終的にオルソケラトロジーを使用するかどうかは担当医と十分に話し合った上で検討するとよいでしょう。
オルソケラトロジーの費用
オルソケラトロジーの費用ですが、使用開始1年目に15万円~25万円ほどかかります。
この費用は初回の適正検査、定期健診、テストレンズ代、オーダーレンズの作成費、洗浄液や点眼液のようなケア用品代など、治療するに当たっての全ての費用を含んだものです。
15万円~25万円ほどと、金額にかなりのばらつきがありますが、これは現在のところオルソケラトロジーが日本国内で正式に認可されておらず、各取り扱い眼科ともに自由診療で行っているためです。
よって各眼科によって費用がかなり違ってきます。
ゆえに、治療を始めるに当たっては各眼科ごとに定められている総合的な費用を確認し、わからないことがあれば事前にしっかりと問い合わせをしましょう。良心的な眼科医さんなら丁寧に説明してくれるはずです。逆に対応があまり丁寧でない場合はその眼科での治療は避けた方がよいかもしれません。
一旦治療を開始するとその医院とは長い付き合いになります。自分にとっての最高の眼科医さんを選ぶようにしましょう。
●レンズの作り変えとランニングコスト
レンズには耐用年数があり、患者の使用状況にもよりますが、2~5年ほどで作り変えなければなりません。このときには当然新たな作成費がかかります。医院にもよりますが、初回のレンズ作成時と変わらないと思います。
また、日々のレンズのケアにも当然維持費がかかります。
例えばレンズの洗浄液や、装用する時に使う点眼液などです。これは通常のコンタクトレンズの維持費用と変わりありません。
ちょっと高額だな…と思ったあなたへ
オルソケラトロジーは様々なメリットがあり、体験者の私からすれば近視の矯正手段として是非ともオススメしたいと思います。
でも、中には「試してみたいけど、予想以上にお金がかかるな…」と思ってしまう人もいるでしょう。たしかに「15万円~25万円」という費用は高額です。
そんなあなたにはこの記事の下段にある視力矯正プログラムがおすすめです。オルソケラトロジーに比べて費用も安価で、トレーニングさえ積めば視力を回復することができます。
ぜひ自分にあった視力回復法を見つけましょう!
手入れの方法は?
オルソケラトロジーの手入れの方法は通常のハードコンタクトレンズと変わらず、特殊なケア用品などは必要ありません。
私の手入れ法は朝起きてレンズをはずした後、ぬるま湯で洗ってから市販のハードコンタクトレンズ用の洗浄液に夜までつけておきます。あとは1週間に1度程度、綿棒に洗浄液をつけてから軽くこすり洗いをするぐらいです。
※余談ですが、洗浄液は常に複数ストックしておきましょう。まだ残っていると思って「洗浄液につけようとしたらもうカラだった」ということがあると次の日にオルソケラトロジーを使うことができなくなってしまいます。洗浄液につけないままレンズを連続使用をするのは危険です。
そういう意味では上記のリンク先のAmazonさんでまとめ買いをしておくと非常に便利です。
ケースも市販のハードコンタクト用のケースで大丈夫です。心配せずとも、オーダーレンズを受け取るときに医院からケースをもらえると思います。
私は最初、特殊なレンズなので何か特殊なケア用品が必要なのかなと思っていましたが、特別なものは必要ありませんでした。
ただし、医師の方からは「洗浄液につけることは忘れないように」と念押しをされました。
コンタクトレンズではケアを怠ったために合併症を引き起こしてしまうという悲しい例もありますので、必ずケアは怠らないようにしましょう(特に小学生のお子様が使用される場合は保護者の方がきちんと監督しましょう)。
※なお、医師から特別な指示があった場合はその指示を守った上で使用してください
定期検診は忘れずに
オルソケラトロジー治療中は定期検診を必ず受けてください。
コンタクトレンズは自覚症状がなくとも、少数ではありますが知らず知らずのうちに合併症を引き起こしてしまう場合があります。合併症は進行してしまうと視力の悪化を招き、最悪の場合は視力を元に戻すことができなくなってしまいます。
オルソケラトロジーもコンタクトレンズの一種です。適切な使用方法を守らなかった場合に合併症が起こる可能性は否定できません。
万が一合併症にかかってしまっても初期の段階であれば適切な治療により治るので、早期の発見は非常に重要です。そのために必ず定期検診は忘れずに受けてください。
これからオルソケラトロジーを受けるかもしれないあなたを怖がらせてしまうようなことを言ってしまいましたが、それほど医師による定期検診が重要であるということは必ず認識していただきたいと思います。
ただし、医師の指導の下で適切なレンズケアをすればまず問題はありません。
オルソケラトロジー治療による過程で合併症を引き起こす例で一番多いのは「装用期限を守らない」ということです。これは洗浄液につけずに次の日にそのまま使ってしまったり、連続的に装用してしまったりといった例です。
ケアを怠れば非常に怖いことが起こりうる一方で、適切なケア、検診を受ければ問題が起こる可能性は非常に低いということをご留意していただきたいです。
私の通う医院では「オルソケラトロジー使用開始翌日、1週間後、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後(以下6ヵ月ごと)」の定期検診を義務付けられています。視力の検査や、眼に異常が無いかの検査もしてくれますし、レンズの洗浄もしていただいています。
定期健診を受けることもオルソケラトロジーの手入れの一つと言えます。
あなた自身やお子様の大切な眼を守るために、医師による指導や定期検診は絶対に守ってください。
危険性について
現在のところ、オルソケラトロジー特有の危険性は無いと言われています(ただし、後述のように「コンタクトレンズとして」のリスクはあります)。
「オルソケラトロジー 危険」というキーワードで検索して当サイトにお越しになる方がずいぶん多いため、このページではその部分について解説します。
おそらく、不安に思うポイントは「寝たままコンタクトレンズをつける」という点にあると思います。これはコンタクトレンズ使用者の方が真っ先に思いうかべることでしょう。医師から必ず「コンタクトレンズをしたまま寝ないようにして下さい」と念を押されているはずだからです。
これは通常のコンタクトレンズですと、寝たまま着用していると涙液が眼全体に行き渡らず、角膜が酸素不足に陥ってしまう恐れがあるためです。
ゆえに、寝たままコンタクトレンズをつけることに抵抗のある方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、日本国内で治療に使われるオルソケラトロジーのレンズは米国FDA(日本での厚生労働省にあたる機関)で危険性が無いと認められ、利用が許可されたものに限っています。
レンズには高酸素透過性のものが使われ、米国だけでも120万人以上の方が実際に使用しており、「オルソケラトロジー特有の有害性があった」という報告は現在のところありません(個人的な意見ですが、訴訟大国であるアメリカで裁判にすらになっていないということは問題はないのだと思います)。
下記※1参照
ゆえにオルソケラトロジーに危険性は無いと言えるでしょう。ただし、これは「特有の」危険性に限ったものという意味でです。
オルソケラトロジーもコンタクトレンズの一種であるので、医師の指示を守らずに1週間連続でレンズをつけっぱなしにした人が眼病を患ってしまったという例は報告されています。このような適切な治療の範囲を逸脱した無理な使用は大変に危険です。
このように「コンタクトレンズとして」の危険性はあるので、医師の指示を守って適切なレンズのケアを心がけ、定期健診を必ず受けて眼に異常がないかどうかを確認してください。
オルソケラトロジーは医師の指示の下で適切に管理し、定期健診を必ず受けていれば非常に安全な視力回復法となる一方で、装用期限を守らないなどの不適切な管理をし、定期健診を受けないなどの治療の過程を守らなければ危険なものになってしまうことを覚えておいてください。
※1 10月12日付け読売新聞について~裏付けのない報道に問題あり
参考URL http://www.ortho-k.co.jp/news/post_1.html
適した人と適さない人
人によってはオルソケラトロジーによる治療が適していらっしゃらない方もいます。
具体的には、
「強度の近視、乱視の方」
「中程度以上の遠視の方」
「高度のドライアイの方」
「角膜、水晶体、網膜に病気のある方」
「医師の指導を守った適切な使用ができない方」
「円錐角膜などの医師が不適切と判断した場合」
等になります。
ただし、使用できるかどうかの境界線が難しい場合もあります。
例えば、強度の近視の方でも角膜に十分な柔軟性がある場合はオルソケラトロジーで良好な視力を得られるケースがあります。ゆえに、一概に「視力○○以下は不可」と言い切ることはできません。
また、ドライアイの場合でも症状が軽度ならば医師の判断の下で使用可能なときがあります。これは十分に医師と相談した上で治療するかどうかを判断してください。
その他、角膜に異常のある方などは使用に適していません。自覚症状が無くても異常がある場合がありますので、決して自己判断をせずに医師の指示を守ってください。
コンタクトレンズ使用中の方へ
オルソケラトロジーによる治療を始める際、ハードコンタクトレンズを使用しているかどうか、また、使用してどのくらいの期間が経っているのかは重要になります。ある程度以上の期間ハードコンタクトレンズを使用していた場合、オルソケラトロジーによる治療の効果があらわれにくいからです。
なぜならば、長期的にハードコンタクトレンズを使用している人の角膜はすでにある種の「クセ」がついているからです。オルソケラトロジーによる「クセ」とは違う意図しない「クセ」です。
このような患者の角膜をオルソケラトロジーに変化させてゆくのは、コンタクトレンズ未経験の患者よりも多少長い時間がかかります。
ゆえに、適性検査の際にはコンタクトレンズ経験者かどうかは必ず医師から聞かれます。
コンタクトレンズの扱いに慣れているという点ではスムーズに治療に入れるかもしれませんが、角膜に形付けがなされしまっているという点においては若干効果があらわれにくくなるという点は了解しておきましょう。
寝るときの注意点
普段からうつ伏せで寝る人にはちょっとした問題があります。
オルソケラトロジーはレンズによって角膜の形状を変えるものですが、視力矯正の効果はレンズが瞳の中心にある場合に最大限に発揮されるように設計されています。言い換えれば、瞳の中心からズレてしまった場合は視力がうまく矯正されません。
この「レンズがズレる」といった状況はうつぶせに寝た時に起こる場合が多いのです。
うつぶせに寝たときはまぶたが枕に当たるなどして圧力がかかってしまい、レンズが瞳の中心から少しズレてしまうことがあります。よって治療の安定期に入っていても視力がうまく矯正できない時があります。
うつ伏せの方が寝やすいという方は医師に相談してみた方が良いかもしれません。
デメリットも有り
オルソケラトロジーには以下のデメリットもあります。
Ⅰ・「定期的なレンズの着用と、医師の定期検診を受ける必要がある」
Ⅱ・「強度の近視、乱視の方には使用できない場合がある」
Ⅲ・「装用開始初期は視力が安定しにくい」
Ⅳ・「安定期になっても視力が不安定になる日がある」
Ⅴ・「コンタクトレンズなので、『充血』、『涙目』、『炎症』といった異常が起きることがある」
一つずつ見てゆきます。
デメリットⅠ・オルソケラトロジーはその特性上、定期的にレンズの着用をしなければいけないのは仕方ありません。レーシックであれば一度手術さえすればその後は良好な視力を得られることが多いですが、オルソケラトロジーはあくまで一時的に角膜の形を変えるだけなので、レンズの装用を止めれば視力は元に戻ってしまいます。
そのため定期的なレンズの装用が必要です。また、眼に異常がないかどうか定期的に医師の診察を受ける必要があります。「継続的な着脱と適切なケアが必要」という点においては「デメリット」と言えるでしょう。
デメリットⅡ・オルソケラトロジーによる視力矯正には限界があり、強度の近視や乱視の方には医師から使用許可がおりないことがあるようです。つまり、だれでもオルソケラトロジーを使えるとは限りません。メガネでしたらどんな人でも使用可能でしょうが、「使用に制限がかかる」ということは一種のデメリットでしょう。
ただし、これは角膜の形状や柔軟性でも変わってきますので、一概に「視力○○以下なら効果があらわれにくい」とは言えません。強度の近視や乱視の方は自己判断をせずに医師に相談してみましょう。
デメリットⅢ・装用開始直後は視力が安定しにくいため、日によって良く見えたり見えなかったりということがあります。これは安定期になるまで装用を続けるしか対応策がありません。
デメリットⅣ・これは稀なケースですが、うつぶせに寝た場合にまぶたに圧力がかかり、レンズが瞳の中心から少しズレてしまう場合があります。オルソケラトロジーは瞳の中心にフィッティングされた時に視力が最も良くなるように設計されているため、瞳の中心からズレたまま矯正されると良好な視力を得ることができません。
これは治療の安定期になっても起こることがあり、仕事で運転などをされる方は職務に支障をきたすこともあるので、そのようなケースも考えて医師に相談しましょう。
デメリットⅤ・オルソケラトロジーもやはりコンタクトレンズです。コンタクトレンズとしてのデメリットは当然あります。コンタクトレンズは瞳に直接接触するものなので、ある程度のリスクはあります。もし眼に痛みなどの異常を感じたらすぐに装用を中止して、医師の診察を受けてください。
デメリットは以上になります。
最終的にオルソケラトロジーを使用するかどうかはデメリットもよく考え、医師とよく相談して決めましょう。
治療の効果を考える
オルソケラトロジーを使用する中心となる軽度~中度の近視の人には早ければ数時間、遅くとも1週間ほどで効果があらわれます。また、安定期に入るのは早ければ1~2ヶ月ほどで、遅くとも3~6ヶ月でほとんどの患者が安定して良好な裸眼視力を得ています。
個人差はありますが、この安定期に入ると週に2~3回のレンズの着用だけで裸眼視力「1,0以上」の効果を発揮できる方もいます。
また、軽度であれば遠視の患者への矯正も期待できます。
●最初は効果が薄く、徐々に安定してゆきます
オルソケラトロジーは角膜の形をレンズによって変えるものなので、1日、1週間、1ヶ月、6ヶ月と治療する期間が長くなるほどに角膜に長期的な「クセ」がついてゆくために治療の効果が大きくなっていきます。
言い換えれば、治療開始当初は矯正の効果が不安定で、午前中は良好な視力を得ても、夜にはすっかり見えなくなってしまうこともあります。
医師と相談して、「安定期に入るまではメガネを持ち歩く」などの対応策をとりましょう。
●効果があらわれない場合も
オルソケラトロジーはほとんどの患者に効果がありますが、中には期待通りの視力が得られないケースもあります。これには角膜の柔軟性が大きく関わっています。
オルソケラトロジーは角膜の形状を変えるものなので、角膜の柔軟性は治療において非常に大きな影響を与えますが、この角膜の柔軟性は患者ごとに差があります。
そしてこの角膜の柔軟性は現代の医療機器を用いても判断するのは難しく、結局のところ、熟練した専門医でも実際に治療を開始してみるまで予測はできないのです。
ゆえに、中程度の近視であっても治療の効果があらわれにくい場合や、逆に強度の近視でも良好な結果がでる場合もあります。
中程度までの近視である場合はほとんどの患者がオルソケラトロジーで良好な視力を得ていますが、「角膜の柔軟性」といった不確定要素があることも覚えておきましょう。
昼間は裸眼で大丈夫?
オルソケラトロジーは夜寝ている間に装着することも可能なコンタクトレンズですので、昼間は裸眼でも大丈夫です。就寝時にレンズを着用すれば昼間はメガネもコンタクトレンズもつける必要はありません。「目薬を定期的にさす」といったケアも必要ありません。
オルソケラトロジーはレンズの圧力によって角膜の形を変えるので、「まぶたを閉じいる状態」、つまり就寝時にこそ最大限の効果が発揮されるため、就寝時の着用を薦める医師が多くなっています。これには就寝時には眼にゴミや異物が入る可能性が少ないので安全性が高まるということも関係しています。
ゆえに、基本的には昼間は裸眼で大丈夫です。
ただし、これは治療開始後1~2ヶ月経ち、安定期に入った人の場合です。
治療開始直後はレンズによる「クセづけ」が弱く、夜遅い時間になると視力が落ちたり光がぼやけてしまうことがあるので、その場合は度の弱いメガネをかけたり使い捨てのコンタクトレンズつけて一時的に視力を補う必要性がでてきます。
また、強度近視の人の場合は1,0程度の視力まで回復しないことがあるので、「オルソケラトロジーである程度視力を改善して度の弱いメガネを併用する」といった使い方になることもあります。
このようなケースもありますが、軽度~中程度の近視の人の多くはオルソケラトロジーを使用することによって裸眼で生活することが可能になっています。
昼間の装用もOK
基本的にオルソケラトロジーは夜間に装用するコンタクトレンズですので、「寝ている間に着けなければいけないのかな?」と考える方もいらっしゃると思います。
しかし、オルソケラトロジーはレンズ自体にすでに度が入っているために、普通のコンタクトレンズと同様に「朝着けて、学校や仕事から帰ってきてからはずす」という使い方も可能なのです。
現在でこそ高酸素透過性レンズが開発されたために夜間装用が主流となっていますが、実はこの昼間の装用こそオルソケラトロジーの原点でした。もちろん昼間使用した後にレンズをはずしても、その後は裸眼で良い視力が維持できます。
つまり「主に夜に裸眼で過ごしたい」という方はこうした使い方も可能なのです。
ただし、夜間の装用のメリットである、
・寝ている間は目に異物感を感じないこと
・目にゴミなどが入ってレンズを傷つける心配が少ないこと
・就寝時にはレンズの破損などの危険性があまりないこと
・寝ている間はまぶたを閉じているのでレンズに圧力がかかり、角膜の矯正が早く進むこと
などを考えると夜間装用の方が楽なので、夜間装用を薦める医師が多くなっています。
最終的には医師とよく相談の上、昼間に着けるか夜間に着けるか、都合の良い方を選びましょう。
オルソケラトロジーとは
オルソケラトロジーとは「特殊なデザインのコンタクトレンズを用いて角膜の形を変え、近視や乱視を一時的に軽減、あるいは消滅させてしまう一連の治療の過程」を指します。
語源はギリシア語の「ortho(矯正)」、「kerato(角膜)」、「logy(学問)」という言葉を組み合わせたもので、直訳すると「ortho- keratology(角膜矯正学)」という意味になります。これはそのままずばり「角膜を矯正して視力を向上させる」というオルソケラトロジーの特徴をあらわしています。
レンズは高酸素透過性のものを使用し、特に寝ている間にコンタクトレンズを着用することを薦める医師が多く、民間の医療施設で本格的に治療が開始された1980年代後半からすでに米国だけでも120万人の患者がオルソケラトロジーを使用しています。
治療は各患者ごとにレンズをオーダーメイドする個別医療で、定期健診による診察を受けながら患者の求める裸眼視力まで改善することを目標とし、最終的には多くの人が左右一枚ずつのレンズを継続的に使用するだけで良好な裸眼視力を得ることができています。
当サイトでは患者側の視点から見た『オルソケラトロジー』を、なるべくわかりやすく伝えることができるように解説してゆきます。
仕組みは?
近視の人は眼から入った光が網膜の手前の点に集まってしまうため、ピントが上手く合わずにぼやけて見えてしまいます。これは「屈折異常」と呼ばれています。
逆に言えば眼から入った光が網膜にぴったりと合うように屈折率を変えることができれば近視は無くなるということになるので、オルソケラトロジーはこの屈折異常を治すことを目標として治療が行われます。
具体的には、レンズを特殊なデザインにすることです。
オルソケラトロジーはレンズの中央部を扁平にしています。このレンズをつけると角膜の表面が圧力で周辺部に引っ張られてゆくため、角膜の中心部も扁平になり、光の屈折率が変わるため視力が回復するのです。レンズを作成するメーカーによってデザインは多少変わってきますが、この仕組み自体は共通しています。
角膜は柔軟性があり新陳代謝が活発な組織なので形状が変わりやすく、レンズを長い時間装用していると「クセ」がつくので、レンズをはずしてからでもその形状が維持されるため、このような治療が可能となるのです。
手術は必要なし!
オルソケラトロジーは手術する必要なく近視矯正ができます。
角膜を切開することはなく、レンズの装用を中止すれば角膜の形状も完全に元に戻るので、リスクは通常のハードコンタクトレンズと同程度と言われています。「失敗して元に戻せなくなった」ということはありません。
ただし、オルソケラトロジーもやはりコンタクトレンズですので、医師の指示する装用方法を守らなかった場合や、定期健診をしっかりと受けなかった場合に角膜に異常が起きてしまったケースはあります。
広く安全な視力矯正方法として認識されているオルソケラトロジーですが、適切な使用方法と定期健診はしっかりと守ってください。
近視を治す新たな選択肢として
近視を治す手段として、オルソケラトロジーは新たな可能性を秘めています。
一昔前は、近視矯正の手段としてはメガネかコンタクトレンズくらいしか方法はありませんでした。そこに新たにオルソケラトロジーとレーシックという方法が加わったのです。
「どの近視矯正法が一番優れているのかな?」という疑問の声も聞こえてきますが、正直に言って「一番優れた方法」というのは存在しません。もしあるのならば、100人中100人の人がその方法で近視矯正をしているはずだからです。
現在のところ、大まかに上記の4つの「メガネ、コンタクトレンズ、オルソケラトロジー、レーシック」という近視矯正方法があります。
これらは全て一長一短です。便利なところもあれば、それに反する不便さもあります。
私にとって一番合っている視力矯正方法はオルソケラトロジーですが、通常のコンタクトレンズの方があっているという方もいるでしょう。またはメガネが一番良いという方もいるかもしれません。
色々な視力矯正方法を比較して、是非とも自分にあったものを探し出してください。もしそれがオルソケラトロジーであり、そのきっかけが当サイトをご覧いただいたことであれば幸いです。